台風がきている。先日書いた記事にもあるように、睡眠薬を飲んで寝ているのだが風の音がうるさくて今日はそれでも寝付けない。災害時の備蓄用に買ったはずのランチパックだけど、おなかが空いてしまいこの時間に熱いお茶と一緒に食べている。余談だけどランチパックは絶対ピーナッツ派。最近悲しいことが多くてお風呂で、電車のなかで、一人しか乗って居ない平日昼間のバス、至る所で涙が出てしまう。暇だからと少し映画を観すぎたせいかもしれない。涼しくなってきたからパジャマを秋物に変えたけど、日中は暑くてまだ半そでを着てしまうことが多い。わたしの好きな人はいつも季節感のない服を着ていた。彼が暑い日に着ていた長袖のせいで、わたしたち二人の間にはいつも季節一つ分のずれがあるようだ。

 

高校生から大学生の途中くらいにかけて、週に二回くらいは新宿のライブハウスにいた。その当時付き合っていたバンドマンの男の子はいまなにをしているだろう。今まで付き合った四人の男の子たちの名前と誕生日、最寄り駅を思い出す。不器用極まりない恋愛をしていたような気もするし、わたしばかりが器用でずるかったような気もする。男の子たちが夜中に自分のためだけに弾いてくれたギターやピアノの音、当時のわたしは家庭環境が最悪で、世界で自分のためだけに鳴る音にずっとずっと救われていた。バンドマンの彼女なんて別に華やかなものでもなく、楽屋に一度も入ることはなかったしライブもチケット代を払って観に行っていた。今も音楽は好きだけど、仕事をはじめてからはなかなかライブハウスに行けていない。男女関係の話しかしない一部の人たちが面倒になったっていうのもある。今となってはボケナスがなんか言ってるなくらいにしか思わないけど。

サーティーン、かれこれ10年くらいずっと好きだな。聴くとたまに泣いちゃうけど。


サーティーン『いやらしい』

好きなタイプどんな人?と聞かれるたび年々答えに困るようになってきている。昔は背の高い人とか、優しい人とか、音楽の趣味が似てる人とか、ぽんぽんと頭に浮かんできていた気がする。最近知り合った女の子にこの話をしたら、わたしは難しいこと言わない人が好きだなと言っていた。どうして、と聞くと前付き合ってた人は難しいことばかり話していて、話がわかる女の子と付き合いたいからってふられたから、と話していた。彼女は決して勉強ができなかったり行間の読めない人じゃなかった。難しいことってどんなことなの、と聞いた。テレビを見ているとき、芸能人に対して死ねとか干されればいいと彼氏が言うから、どうしてそう思うのと聞くと、そういうタレントじゃん、わかるでしょと返されるらしい。障害のある人のことをガイジと言ったり、道で酔いつぶれてる人に彼女が声をかけると汚いからやめろと言ったりする、そういうのが自分にはよくわからなかったし、向こうもわからない私にイライラしていて次第に一緒にでかけたり電話をすることが減って、LINEで別れ話をしたと言っていた。とても悲しくてつらい場面が多かっただろうなと思った。彼女は、難しいからわかりたかったけれど何でも教えてもらえると思ってた自分が甘かったんだよ、と話した。そんなことないよ、と言いたかったけれどきっと私たちも無意識でそういうことをしている。お互い何杯かビールを飲んだあと、でもわたしは君の性格がすごく好きだよと言ったら生きててよかったな~と笑って、もう一杯ずつ飲もうかとメニューを広げた

 

飲んでいるベルソムラという薬の副作用のせいで毎晩悪夢ばかり見る。昨日の夢は、遊びに来た友人とエドワード・ヤンの恐怖分子の話をしていたらインターホンがなり、ガスの点検だかで来たから玄関を開けてくれと二人組の男性が言うのでドアを開けたら、黒いパーカーの男たちが銃口をこちらに向けるというものだ。そのまえは知らない男に足の指を一本ずつカッターで切り落とされる夢だったり、大量のカマドウマに体の肉を食いちぎられる夢だったり、口の中が抜け落ちた自分の歯でいっぱいになって吐き出す、みたいなどこをとってもサイコ映画のワンシーンになりそうなものばかりで、寝るたびに疲れる。そもそも睡眠薬の副作用が悪夢って、何かわたしは壮大なギャグにはめられているんじゃないだろうかという気持ちになった。しかもこれらの夢、寝てからわずか1時間弱で見ていてすべて途中で目が覚めるのだ。おちおち寝てられんという気持ちだ。安眠を手に入れるまでの道のり、長い。

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コンタクトを買った。小学校2年生のときからかれこれ17年もメガネをかけ続けていると、自分の素顔というものがあまりよくわからなくなる。眼科で視力を測って鏡の前でコンタクトレンズをつけたときに、わたしってこんな顔なんだな……となんともいえない気持ちになった。思っていたより目の横幅がせまくて、鼻が丸い。いままでずっと父親に似ていると言われ続けていたが、実際のわたしは父にも母にも似ていない顔だった。いままで自分だと思っていた顔が薄い二枚のレンズで他人のふりをし始める。化粧もそうだけど、自分の顔が変わるのは結構ふしぎな感覚だ。わたしが高校生くらいの時、「本当の私、デビュー」とかいうキャッチコピーでコンタクトのCMがやっていた。いまになってみると、化粧を覚えたり二日酔いで顔がむくんでいたり、顔面に本当も嘘もねぇよなぁと思う。しかしコンタクト、着脱の手間とコストパフォーマンス考えたら圧倒的にメガネのほうがいいじゃんね。

 

会社の人事と面談をした。わたしは自分の会社の人事の一人がすごく嫌いだ。二年ほど前に付き合っていた男の子の出身地を聞かれ、京都ですと答えたら将来良い土地もらえるじゃん、と言われたり少し有名な会社の人と付き合っていたときは「勝ち組だね~」と言われた。きっと悪意はないのだろうけれど、とても品がないなと感じた。些細なことかもしれないけど、こういうのが積み重なってもう四年目になる。潮時かな。すべてが自分にとって優しい社会なんてあるはずないけど、それでも今より少しだけまともなところに行きたいと思った。

 

消費税が10%になった。わたしが子供だった頃には想像もつかない数字だ。正直に教えてほしい、いま世の中は良くなっていると思うのか。酒の席で、会社で、友達に、この話をしたけれどみんなはぐらかすのがとても上手で、たいていの前置きは「でも」だった。わたしは、好きな人たちが少しでも生きやすい社会になってほしいと真剣に思っている。それは変な願い事だろうか。きっと私はこの国であと60年近くは生きることになる。明るい願いを捨てきるには長すぎる時間だ。ああしたらよかった、ではなくどうしたらよいだろうかを大事にしなければいけないな。

 

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土曜なんとなく起きてなんとなく準備をして特に計画は立てずに家を出て町田へ向かった。祭りがやっていてどの道に迂回しても神輿に遭遇してちょっと怖かった。あの瞬間わたしは神輿から逃げられず、全方位囲まれていた。回転ずしを食べたあと、ボウリングをした。この町はあまりに娯楽施設がなさ過ぎて休みの日になるとボウリング場があり得ないくらい混む。本当にありえない、80分待ちとか。ディズニーランドかよと思いつつ、併設されたゲームセンターでゾンビを倒したり音楽に合わせてボタンを押したりパンチングマシ-ンで遊んだりしながら時間をつぶした。とはいえ80分は無理。正解は近くの居酒屋に入ってビール飲みながら待つことだったねぇと話した。せっかく大人なんだから。わたしはなぜかボウリングがやたらにうまくて、大体の男性と同じくらいかそれより少しうまいくらいなので、ハンデなしで真剣勝負。汗かいた。二勝一敗だったけど前回勝ち越しされたのでこれで三勝三敗の引き分けで次回に持ち越し。

 

日曜映画HOT SUMMER NIGHTSを観に恵比寿へ。映画自体はほんとしょうもない設定だったので割愛。恵比寿ガーデンプレイスで恵比寿ビール祭りがやっていたのでそこで飲もうという話になるも、爆音で音楽が流れていて、声を張らないと全く聞こえないうえに注文方法が複雑だったので二杯だけ飲んでそそくさと移動。メキシコ料理屋でテキーラを飲みながら話をした。何度か会っている男性と飲んでいたのだが、数日前、彼とLINEでやり取りしていた時に「夜、近所を散歩したよ」と話したところ「男漁り?」と送られてきたことがあり、それがショックだった旨を本人に伝えた。わたしはその人に「どうしてそんなことを言ったの?」と聞いたら「他意はないし冗談だよ。」と言われた。以前もその人に「君は自分だけ大人みたいな顔をして受け流して、何を言っても伝わっている気がしない」と言われて傷ついたことを思い出した。彼は、自分の言葉「なんか」で私が傷つかないと思った、と話していた。

彼はわたしのことを無敵の人だと思っている。ネットスラングとは逆の意味の、「なにもかも持っている」という意味の無敵の人だ。それは本当にくだらない、顔がかわいいだとか教養があるだとか大きい会社に勤めているとか、ほんの少し異性に好かれることが多いとかそんな話だ。そんな理由だけで、何にも揺るがされない、無風で、潤った土地に生えた大木のようなものだと思われている。実際の私は血と肉と情緒の塊だ。わたしは、劣等感をそういう形でぶつけられるのはすごく不愉快で、あなたが思っているよりずっと色々なものに傷つけられたり落ち込んだりしているよ、とだけ伝えた。ルポルタージュという漫画で、主人公が「あなたに誤解されたくなかった」と好きな人に泣きながら訴えるシーンがあった。わたしは、誤解を恐れずにはいられない。大切な人や仲の良い人に対して、誤解されないためのコミュニケーションを、例え不器用でもなるべく真摯にやっていたつもりだった。そしてそれが全く届いていなかったという事実を目の当たりにして、久しぶりに打ちのめされてしまった。四杯目のテキーラを飲み干した後、気分が悪くてめまいがした。少し早いけど帰ろうかといって電車に乗った。

うまくできないこと、わたしにはたくさんある。すぐ冷蔵庫の物くさらせるしExcelも使えないし、ゴミ捨ての曜日だって忘れてしまうし不眠症も治っていないし、泳げない。服を選ぶのだって下手だ。でもマリオカートは上手だし、おいしいカレーが作れるし口紅を最後まできちんと使う。自分の好きな自分の維持だけで手一杯だ。たくさんの「そんなことないよ」を飲み込みすぎて今日は疲れてしまった。もっと書きたいことがあるけど、長くなりそうだから会った人に話そう。


泉まくら 『いのち feat. ラブリーサマーちゃん』 (Official Music Video)

ネットフリックスで配信されているテラスハウスを観ている。恋愛の番組、他人の恋愛観とかバックグラウンドとかファッション、仕事に対する思い入れなど飲み屋で三時間話したって聞けないようなパーソナルな部分が見聞きできてとても楽しい。気づいたら友人の恋愛を観ているような謎の思い入れを持っている。大人になってからする恋バナは二者択一なんかじゃなくて、別れる別れないの他の答えをみんな欲しているはずなのに、なんでみんな酒飲むと別れなよか結婚しなよってしか言わなくなるんだろうな。もっとみんなの好きな人の良いところとか、オチがなくてもいいからデートのエピソードとかが知りたいな。最近聞いて一番良かったのは「彼氏が道端にいたカエルをどうしても捕まえたいと言い出したので、十徳ナイフでペットボトルを切り簡易的な虫かごを作った」という話です。

 

先日一番好きな映画「ハッピーアワー」の助監督とお酒を飲む機会があっていろいろ話をした。恋愛とか映画とか結婚に仕事の話、二軒目の居酒屋の閉店時間も過ぎて気づいたら公園のベンチで朝まで怖い話をしていた。25年生きていると、こういう不思議な夜もある。

 

暑い日、男の子と町田リス園に行ってきた。町田最強のデートスポットと名高い町田リス園。駅からバスで20分(しかも40分に一本とかしかない)という最悪の立地、激安の入園料、暑くてバテているリス、なぜか山のようにいるモルモットと野放しになっているでかいリクガメというどこをとっても最適な温度感の場所だ。町田リス園に思い立った時に行けるというのが神奈川に引っ越してきて一番良かったポイントかもしれない。近くにある薬師池公園のベンチに座って、たばこを吸う横顔と汗を吸って色の濃くなったシャツの背中を眺めていた。

 

カネコアヤノの新しいアルバムがすごくよかった。

最近悲しいニュースが多いねとつぶやく君の横顔

失礼だけど可愛すぎて

感動している 些細な事で

間違ってないよと こちらへおいでと手招き

感動している君の眼の奥に今日も宇宙がある

 自分の恋愛によく似た歌詞だなと思った。


カネコアヤノ - ぼくら花束みたいに寄り添って

インターネットで下着を買った。化粧品、下着にストッキング、女でいてコスパが悪いと思う瞬間である。フィッティングルームでおっぱいのサイズを赤の他人に確認されるのが苦痛でついに実店舗ではなくネットで買うようになった。けして販売員の方を信頼していないというわけではないのだが、下着姿を見せることに対してあまりに抵抗があるのでこういった結果になった。それにしても女性用の下着、なぜこんなに買うのが面倒くさいんだろう。盛りブラ、着やせ、ノンワイヤーで楽々、谷間メイク。おっぱいに対する執着がないので、自分の胸をどう見せたいかみたいな理想が全くない。世間のおっぱいに対する期待値が高すぎるだろといつも思う。買い替えのタイミングもいまいちわからないので、就職してからは一年ごとに大量に購入してすべて一新することにした。一人暮らししてよかったことはどエロい下着をためらわずに洗濯機に入れられるようになったことだな。

 

月に一度美容室に行くようにしていて、この間髪を切って暗く染めたがあまり評判がよくなかった。今年の5月頃、胸下まであったロングヘアを肩のうえまでバッサリ切って以来、その長さをキープしている。髪を切ると決まって「なにかあった?」と聞かれるのだが別になにもない。自分が今までと違うなにかを始める時、大体は大した決心に基づいたものなんかじゃなく、気まぐれなのだった。髪を切るときも、いつもと違う系統の服を買う時も、行ったことのない飲み屋に入ることもそう。変化に対して動機を尋ねられるたびに、自分のこだわりのなさに直面させられる。こだわってるのなんて家で飲むビールの銘柄くらいしかなかった。

 

二か月ほど生理がきていなかったので、妊娠検査薬で検査をしたあと産婦人科に低用量ピルをもらいにいった。薬局で検査薬を探したとき、商品が見つからなくてやむを得ず店員さんに売り場を聞いたところ、店頭に並べていないので欲しかったら店員に声をかけてくださいと言われた。このシステム、絶対恥ずかしくて買えない人いるよなぁと思いながら気になって店内を徘徊してみたところ、コンドームも売り場の端に追いやられていて隅から隅まで探さないと見つけることができなかった。こういう宗派の薬局なんだなと思い納得するも、駅前のそこそこ大きいドラッグストアでこれかぁと少し残念な気持ちに。あと産婦人科の椅子はまじでアトラクションみが強すぎて乗ってると笑っちゃう。そもそも人前でパンツ脱いでる時点でこっちは結構ウケているのに。何が原因かはわからないが、もうかれこれ15年近く生理周期の乱れに悩まされていたので、これで改善されるといいなと思う。いまは超低用量ピルというのがあるみたいで、飲んでも全然吐き気しないし今のところ非常に快適な感じ。こういう生きやすさの選択がもっといろいろな部分でできるようになったら、多少は女でいることに前向きになれたりするのかなと感じた。

 


[MV] Perfume 「宝石の雨」(Houseki no Ame)

台風の音を聞きながら文章を書いている。実家にいたころ、家に帰らない(帰れない)口実ができるから台風の予報の日は必ず外出していたのを思い出した。異性の家をホテル代わりに、連日どこかに出ていく私のことを母親はどう思っていたんだろうか。天気の悪い日に会う男の子たちに、雨の音と風の音の割合、何対何が一番気持ちいいと思う?と聞いてもほとんどの人が「なにそれ」と言うだけでいつもつまらないなと思っていた。雨が降るとベランダに逃げられなくなるから実家に住んでいた時は雨の日がきらいだったけど、一人暮らしをするようになってから窓越しに見る曇り空と強風にあおられる植物、窓ガラスが水滴でいっぱいになって埃が流されていく様子を見るのが好きになった。

 

久しぶりに暑かった土曜日、東京藝大の学祭に行ってTシャツを買って上野公園でビールを飲んだ。学生の売るものはどれもこれも値段が安すぎて不安になった。大人になって自分でお金を稼ぐようになってから、ものづくりに携わっている人たちの「時間をかけた」という事実に対してきちんとお金を払いたくなるようになった。その後香水を選んでほしいという話になり、新宿へ移動し伊勢丹のメンズ館でいろいろな匂いを嗅いだ。本当は上野でうなぎを食べる予定だったのにビールでおなか一杯になってしまっていて、紆余曲折ありなぜか高野フルーツパーラーでメロンのパフェを食べることに。高野の店員さんたちのスカート丈が短すぎやしないかという話をしていた。そのあとルミネに移動してコーデュロイ生地の赤茶のアウターとベージュのチェックのスカートを買った。季節を待ち伏せる形で服を買うのはあまり得意じゃないんだけど、秋冬の入り口が楽しみになるような色の服を選べたのでよかった。

 

告白してくれた男の人から「君に馬鹿だと思われたくなくて、すぐに謝ったり発言を撤回したりしてしまう」と言われた。間違いなく、私が五年付き合っていた人に対して当初抱いていた感情と一緒だった。この言葉、言われるととても寂しくなることを薄々感づいていたから私は恋人には言えなかった。


キリンジ - エイリアンズ