夏の結び目がほどけてきて、カーテンを開けるとすっぴんの頬に光の稲妻が走る

汗をかいた次の日に洗ったシーツの端に見えるほつれ、糸を引けばすべて一枚に戻ってしまいそう。けむたいほど熱い風に乗った青臭い匂いの正体は隣の家の庭からだった。立体駐車場と見たことない飲み物ばかり売ってる自動販売。圧倒的な数の選択肢をひとつずつ手にとっては見つめて愛でて憎むことでしかわたしはわたしを保てない。自虐でもなんでもなく、このクソ暑いのにようやるよとしか思えない。

君を決め付ける権利も君がわたしを決め付ける権利も等しく持っている。わかりあえない理由なんかよりもわかりあわない理由のほうがたくさんあったから、例えばほんの小さな、同じCDを何枚も買うこともそう。いまよりずっとマシじゃなかった日のアルバムを広げて、あぁそーだったねわかってあげられないしわかってもらえなかったこの時も。でも久々に読み返すと違った味わいになるよね。ほたるの墓だって大人になってから見れば意地悪なおばさんにだって感情移入したりしたでしょ

やり場はいらない、やり場があるとばかだからなんでもそこに置いてきちゃう。

心臓の深い部分が泡立って、煮えるような不安にうなされる。寝起きが悪いのは毎年の夏のこと。学習しないからエアコンの風に負けて、冷たいものばかりで痩せた体が元気になるのは決まって衣替えをしてから。日焼け止めの残った肌をさわらないでよ。ふれられたくないが加速して誰とも会わないおばけになる。


大森靖子「死神」Music Video