18日このタイミングでなぜか年収二千万円の開業医をやっている友人に告白される。君をふった男より優しいよ、収入がいいよ、君の意見を尊重するよ、未来は明るいよと説得するような口ぶりで、その話し方は別れたくないと泣いたわたしをたしなめたときのかつての男の子たちにそっくりだった。理由や説得じゃなくて、会話がしたかった。もしかしたら私とこの人が手を取り合って笑いあう未来があったのかもしれない。ただ、いまは乾かない傷のことばかり考えてしまって、誰の手を取ることもできず先に進めないままこの話は静かに終わった。眠れない夜、起きあがれない朝、いくら寝ても足りない昼、体中にすきな気持ちが残っていても報われないという事実が私を殺しに布団のなかまでやってくる。恋人にふられてから21日目、初めて涙を流さずに一日を終えることができた。


宇多田ヒカル - Goodbye Happiness

東京、町中のすべてが恋人のために作られているように見えて大好きだった。明後日からは知らない土地の知らない部屋で、だいすきな漫画と服に囲まれて誰に知られることもなく村人Aになって生きていく。すべてにすべての事情があって、それを許さなきゃ生きていけなかった家からようやく離れて、一人のための暮らしをはじめる。