わかりあうも愛しあうも映画やテレビみたいにうまくいかないのに、それでもあこがれてしまう。仮面ライダーになれないことがわかっているのに、変身ベルトを欲しがる少しだけ大きくなった子供だ。変身ポーズは恥ずかしくてできないくせに、金だけ出して使う日のこないベルトをたくさん手に入れた。

接客業だったからつけられなかった指輪は、お守りみたいに仕事のスーツのポケットに入れて過ごしていた。誰にも言えなかった大切な秘密が山ほどあるから、ひとりが刺さって仕方ない夜も目をつぶって明日の朝までひまつぶしができる。生活は目に見えない透明な粒みたいなもので、私の口元まで上がってきて知らぬ間に息をできなくさせたり、ふいに別の誰かの透明と反射して知らない光を見せたりする。だから私は毎日を愛することはむずかしくてできなくても、折々のタイミングでそれを思い出して、知らない光の輪郭をたしかめては昨日のことのように言葉にすることができる。

やりきれない日でも、男の子に騙されるには私の性格はクセがありすぎた。会うたびに雲の厚さが変わっていた季節のことも、手を握りしめて泣いた夜のあのぜいたくな悲しみも、静電気で舞い上がる髪が日に透けてシーツに影を落としている姿を目が覚めるまで眺めていたことも、世界に一つだけのわたしの宝石だった。

 

この町あの町で寝ても闇の夜に抱かれ 変わることない喜びを重ね続け 

恋と夢と現実は隣町の移動遊園地 明日 朝はやく出かけなければ 

という歌詞が好きでもうかれこれ10年近く聞いていた曲をヤマジがコピーしてるの初めて知った。なんかめちゃめちゃいい曲みたいになってて笑えた。


ヤマジカズヒデ - 移動遊園地(original by 豊田道倫)

 

論理と感性は相反しない (講談社文庫)

論理と感性は相反しない (講談社文庫)

 

 

「論理と感性は相反しない」という本に書いてあった「わかりあうことなんて求めてない。好き合うことを求めている。」という言葉の意味が全くわからないまま何年もたつ。好き合うよりもっとずっとわかりあうことの方が大切で、必要で、難しくて、ぜんぶだと思っている。誰かを好きだという気持ちでごはんを食べられなくなったことは一度もないけど、大切な人とわかりあうことができないと気づいたときは一睡もできなかった。誰かとわかありたいと思う気持ちだけでふらふら歩いていた私がもう来月に23歳になる。

私は結婚や恋がしたいのではなく、仕事や本や音楽の話をして一緒に暮らしていける人がほしいだけだった。私は人を愛する才能に少し恵まれていたせいで友人たちから「恋多き女」と揶揄されることがあった。けど、人を愛する才能と恋愛を楽しむ才能は全くの別物で、わたしにとって恋愛は楽しくて胸が躍るようなものではなく、ささくれのはじをひっぱられ続けるような痛みによく似ていた。

もし仮に恋人と一緒に暮らすとしても、その人のことを異性として好きでいつづけることは不可能だと思う。人の気持ちは変わるものだし、変わり続けるという自覚があるから、相手にとって「変化しない関係」という認識である限り結婚は空想上の出来事でしかなく、まぼろしを人生に持ち込むことはできない。

恋をすることはたしかに私自身を豊かにするけど、好きに付随してくるその他もろもろの感情と向き合い続けるのはあまりに心への負荷が大きい。ただ信じられないくらいキラキラする男の子との出会いが人生で何度かあって、そういうとき私はそのすべてを手に入れようとせずにはいられない。恋をすることと愛することと一緒にい続けることのすべてが違う線上にある事実を呪わずにいられないけど、それが現時点での自分でしかない。諦めるよりもっと意味のあることがあるはずだから、はやく目の前にひかれた無数の予防線の外に出たい。

ハッピーアワーで桜子が自分の旦那について「好きかどうかはわからない、でも愛している。」と話していた。

愛している、とはわかりあいたいという希望を捨てることができない、という意味だと思っている。

大森靖子『PS』@新宿 LOFT 11月13日

大好きなアイドル虹コンのメジャーデビューが発表され幸せな気持ちでした。虹コンファンの投票で決まったセットリストに全く納得いっていませんが(パラドキシカル・コンプレックスが入っていないのはどう考えてもおかしい…)とにもかくにもめでたい。

初めはこのビジュアルがわたしのサブカルレーダーにビンビン引っかかってきたので軽い気持ちで手を出したらいまや私のなかでハロプロに並ぶ二大巨頭になっていました。

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みんなとってもかわいいのですがなかでも好きなのは左端の陶山恵実里さん、その隣のツインテール鶴見萌ちゃんと中央白目の大塚望由ちゃんと右端の奥村野乃花さんです。そしてこのきったないチャイナタウンみたいなセット最高ですよね。PVではメンバーの名前が書かれたネオンがバカスカ光っててイカしてます。 サムネも意味がありそうで絶対にない感じがイイですね。


【MV】虹のコンキスタドール「↓エイリアンガール・イン・ニューヨーク↑」(Original ver.)(虹コン) 

あと単純に曲がいいです。

年末にリリースされた「LOVE麺 恋味 やわめ」のトラックとか最高!!!!!!!!!譜割も気持ちよいし、サビで鳴ってるギターとか全然アイドルのシングル曲らしくなくてサブカルババアは大喜び。女子のゆるラップが大好きなお兄さんたちにぜひ聴いてもらいたい。Cメロの歌詞のクオリティの高さにも脱帽。トラックは著名なボカロPさんが作ったそうです。

「食べきれないのに大盛りよしなよ」 って君は全然わかってない!

残り麺が多いほど一緒にいれるじゃん っていう乙女心がわからんかなぁ

っていう歌詞…そこはかとなく漂うハロプロの香り…。

【MV】虹のコンキスタドール「LOVE麺 恋味 やわめ」(虹コン)

 

あとはみんな大好き三毛猫ホームレス先生が書いた「ぴくしぶおんど」は知ってる人も多そう。この時のメンバーはもう半分くらいしか残ってませんが衣装もインパクトあるし三毛猫ホームレスと女性アーティストの相性の良さを再認識する一曲でした。

【MV】 虹のコンキスタドール「ぴくしぶおんど」(虹コン)

 

過去にリリースした「THE☆有頂天サマー」という曲ではLOVEマシーンのイントロのオマージュがあったり、「パラダイスな片思い」のトラックでは「Can't take my eyes off you」の引用もあったしでトラックのネタも多くて楽しいと思います!


「パラダイスな片思い」 虹のコンキスタドール(虹コン) 2016.8.27 恵比寿LIQUIDROOM

ライブでは全体的に前髪がビショビショです。もはや職人レベルの表情作りをする鶴見さん、透明感のある大塚さん、スイートボイスの逸材中村さん、常に笑顔の明るい的場さん、圧倒的歌唱力の陶山さん、アイドル総合力53万の奥村さん、小さくてエネルギーのある根本さん。私は…この国に生まれてこれて幸せだ…。


【MV】虹のコンキスタドール「パラドキシカル・コンプレックス」(虹コン)

アイドル、同級生、レストランのウエイトレス、テニスのダブルスのペア、バンドのボーカル いろんな設定のなかで女の子同士がまっすぐに見つめあう絵面がどこからどうみても美しい!

セカイでただ一人 キミだけが正解

ストレートな設定とはちょっと違うけど 

っていう歌詞を10代のアイドルたちが歌ってくれているのものすごい希望だと思います…。「みんなそれぞれ何かのオタク」である虹コンのメンバー…マイノリティをどんどん肯定していってくれ…。

ちなみに新年一発目の新曲はヒャダイン作曲の、作詞は大槻ケンヂだそうです。相変わらず意味わかんない設定のPV最高!


【MV】虹のコンキスタドール「レトルト~華麗なる愛~」(虹コン)

2017年もみんな健康で楽しくがんばってくれますように!

23日友人に「意外と本読まない人なんだね」と言われた。私は本を読むと夢中になりすぎてなにもできなくなってしまう。私にとって読書は不純異性交遊の何倍も勉強に集中できなくなる要因で、中学の時は馬鹿みたいに成績が落ちた。当然だと思う、授業中や自宅はもちろん通学途中に歩きながら本を読んでいたせいで何度も車にひかれそうになってたくらいだし。純文学に近現代の小説、新書に料理本ホラーにエロ小説となんでも読んでいた。

中学生の夏休みの時はうつ病の父と同じ家にいるのがしんどくて、部活に行くふりをして近所の図書館で時間をつぶしていた。自分の自転車が図書館に置いてあることが父親にばれるのが怖くて、少し離れたスーパーマーケットの駐輪場に自転車を止めていた。周りに同じように本を読んでいる子なんていなかったし、読んでいる子がいないことが自分にとって重要だった。「こんなに素晴らしいものを知ろうとしない愚かな人たち」と尊大でいたけど、「あいつらとは違う」なんて他人ありきな生き方に固執して、自意識を着ぶくれさせていた様は相当情けないと思う。勉強もさして得意ではなかったし。

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

ぼくは勉強ができない (新潮文庫)

 

 高校二年の時、寺山修司の「青女論」を読んで書いた感想文は校内の冊子に載って国語教師からの評判もよかったようだけど、セックスという単語を使ったからか翌年の「金閣寺」の感想文は載ることがなかった。

24日仕事。夜はクリスマスっぽいものが食べたくてチキンとワインを買いました。セブンイレブンの700円くらいの白ワインが思ってたよりずっとおいしかったのでご機嫌なまま一本空けて大好きなchelmicoをお風呂で聴いて過ごす。


chelmico「Night Camel feat. FBI」

25日「この世界の片隅に」を観てから東小金井のフレンチレストランでご飯を食べた。加地等の歌は年に一度、クリスマスしか聴きません。


加地等 メリークリスマスフォーユー

26日仲良し同期四人組で忘年会。みんな仕事が休みで17時スタートの健全な飲み会だったのに気づけば4分の3が終電を逃していた。代々木上原鉄板焼き屋さんjibはめちゃめちゃおいしくて、開始1時間弱で二人でシャンパンを一本空ける。その後の記憶はあまりないが飲み代と同じくらいのタクシー代を払っていた。

https://www.instagram.com/p/BOhdz6_DAyr/

大海老の鉄板焼き

7日我が家にヘビが来た。女二人、仲良く1Kの部屋で生活しています。

 

12日職場の忘年会。個室が寒かったので日本酒の熱燗を飲んだ。酔って帰って作ったチャーハンの味をいまとなっては思い出せない。

 

13日横浜の中華街で紺色のセーターを着た男の子と一緒に中華料理のコースを食べた。辛いね、おいしいね、とつぶやいてビールを飲んだ。タクシーの窓から見る雨に濡れたドン・キホーテの看板は渋谷と何も変わらなかった。

 

15日前日の夜から泊りに来ていた友人と二度目のハッピーアワーを観に東中野へ。開演前にカラオケに行こうと話していたのだけど、東中野にはチェーンのカラオケ店が全くなくてびっくりした。ミスタードーナツでぬるい担々麺とポンデリングを食べてから映画館へ。一部、二部、三部。終わるたびにため息をつく。作中の男たちはどうして目の前の美しい人を見つめて会話を重ねようとしないのか。登場する女性全員が自分の友人のようで、彼女たちの怒りと悲しみを見過ごすことができなくて苦しい。映画館からの帰り道、芙美のことを考えてほんの少しだけ泣きました。

最大公約数をとった娯楽映画、老若男女問わずほとんどの人が大好きでおいしくて楽しいみたいな映画に二回も三回も足を運ぶ人がたくさんいる昨今、映画は現実逃避の手段になりつつあると強く思う。ハッピーアワーはあまりに日常に近くて、あまりに人生に関係がありすぎる映画なので正直しんどいシーンも多く、人に勧めるのは少し悩んでしまうのですが、それでもこの映画をわたしに勧めてくれた人がいるように、わたしもこの映画を大切な人に勧めたい。

普通の会話を愛している、とceroが歌っていたけど、あれはほんとうに素晴らしい歌詞だ。普通の会話を愛することはとても面倒で大変で時には誤解や傷を生むかもしれないけど、普通の会話を愛することはすぐ隣にいる人を愛することにつながると心の底から思っている。


cero / 大停電の夜に - PV

劇場でポスターが売っていたので部屋に貼ったところ、QOLが爆上がりしたのでおすすめです。ちなみに同時に購入したパンフレットに書いてあった辛酸なめ子のコメントはしょうもなかったので読まなくていいと思います。

 

17日つらいニュースが多くて朝刊を読むのが憂鬱だ。世間のおじさんたちは満員電車のなかでこんな活字を追ってなにが楽しいんだろう。こんな悲しいことばかりでいつ終わりが来てもおかしくないし、終わりが来ても寝過ごさないで見届けられるように目覚ましは忘れずにかけよう。今日は寒暖差に判断力を奪われて似合わない服を買ってしまい、後悔をした。女子高生がクリスマスプレゼントを選んでいるのを見て、季節のつなぎ目を見た気になる。自分が女子高校生のとき書いていたブログに励まされることがよくある。昔の文章のなかの自分は今とは違い、見栄と不幸と痛みに敏感な、甘えたがりな女だと思った。就職活動と失恋でだいぶ鈍感になったけど、月に一度くらいこの時の自分が顔を出す。たんに生理のせいだと思うけど。

2日「永い言い訳」を観に池袋まで。もうこういう、男が女をないがしろにする話は十分だと思った。愛のほとんどが手遅れになりすぎている。女が愛して、愛さなくなって、それに気づいてから男が愛するようになるってそんな最悪なことがあって良いのか。ふと「ハッピーアワー」の純を思い出した。映画のなかの男性たちは自分に向けられた愛情に対してあまりに無自覚で他人事すぎると思う。

西川美和の映像は変わらず美しい。「ゆれる」の青みの強い映像も「夢売る二人」の冒頭の炎も美しかった。「永い言い訳」に関しては空気を感じさせるのがとても上手だと思う。海の映像の潮風、妻の死後に自室でエゴサーチをしているときのどうしようもない空気、停車しているトラックのなかにとどまるカップラーメンの湯気、女の子と酒を飲んでいるときの煙草の煙の匂い、北国を走る電車のなかの暖房、どれも自分が体感しているようであてられすぎたのか途中から酔った。関係ないけど今回観に行った池袋のシネマ・ロサは風俗街のなかにある雑居ビルの一階にあり、副都心線の地下鉄の出口から近くて便利だったので通いたいと思います。


映画『永い言い訳』本予告

 

5日スカートの静かな夜がいい、を聴きながら通勤している。

www.youtube.com

高校生までは騒がしい夜が大好きで、短い制服のスカートで新宿や渋谷を歩き回って、カロリーメイトを食べながらCDを買ったりライブハウスに行ったりしていた。最近は帰宅したらごはんを作って映画やドラマを一本見てお風呂に入って寝るだけの生活が続いている。インターネットのおかげでかろうじて最新の漫画や映画、本に音楽の話を手に入れられているけど、自分から手を伸ばさなくなれば簡単に触れられなくなるだろう。今日は職場の健康診断だった。夜遊びばかりしてた高校生のころより体重は8kg増えて、友達が一人もできなかった大学時代より血圧が少しだけ上がって健康になった。早寝早起きして一日九時間働いて自炊をして12時半に寝る生活は、私にお金と健康以外なにをくれるだろう。お金もなくて健康でもなかったころはそれはそれで楽しかった気もする。

 

今期のドラマは「地味にスゴイ!校閲ガール」と「逃げるは恥だが役に立つ」を見ているのですがどちらもまもなく最終回を迎えるようで寂しいです。

逃げ恥の最新話で出てきた「必要なのは本当の気持ちを伝えること」というのはすごく良いセリフだなと思った。新垣結衣星野源の可愛さが取り上げられがちだけど、毎回シンプルかつ力のある台詞が多くてよいドラマだと思う。

 

6日。休日。家から一歩も出ることなく、昼に親子丼を作ってからは泊まりに来ていた友人が忘れていった煙草の残りを日が暮れるまでベランダで焚いて本を読んでいた。いつも一日が終わってから見に行こうと思っていた映画のタイトルを思い出す。明日から六連勤がはじまる。


ゆらゆら帝国 「星になれた」

ブログを更新しない間にアメリカの大統領が決まったりモーニング娘。'16の新曲が発売されたりA子さんの恋人の新刊が出たり兄が結婚式を挙げたりした。

 

アメリカ大統領選、本当に言葉通りの意味で泥仕合って感じだった。わたしは特に政治の知識があるわけではないのですが政治の話は好きです。というと小難し~い単語がびゅんびゅん飛び交ってやれあの政党はクソだあのマニフェストは信用できないだという話になるのですが、私は誰が何を支持するかだなんて正直どうでもよく、「〇〇を支持するなら気が合わない、気が知れない」なんてしれっと口に出すジジイに囲まれるのが嫌なので、本当に親しい友人としか政治の話はしない。

何を支持するかではなくなぜ支持するかが大切だと思うので、支持政党の名前はフィルターにしかならないなと感じる。生活がそれぞれ違うように欲するもの、望むものが違うのは当たり前なので、もっとみんな気楽に将来への希望を政治に重ねて話せればいいし、違うものを選択する人を認め合うことができればいいのになと思う。

 

モーニング娘。'16の新曲、つんく~~~~!!!!と叫びだしたいような歌詞で元気が出!る!!!

行列にならんだら『幸せ』になれるなら早朝から並ぶわ

っていう歌詞が大サビに来るアイドルほかにいないよ~~~。ハロプロの歌詞は女の子に努力して幸せになってもらいたいという願いが顕著にあらわれていて励まされる…。日本全土に「本気で挑む女の子」化計画が進んでほしい。最近いろんな人がハロプロに曲提供してるけど、℃-uteSummer Windにある一節

そんな出来事程で本気でへこまないよ 

ただ少しはしょげてる顔してる方が安心するんでしょ

みたいな女の子のヒヤッとするところ書かせるとつんくの右に出るものいないな…とやっぱり思う。


モーニング娘。'16『セクシーキャットの演説』(MORNING MUSUME ‘16[Sexy Cat’s Speech])(Promotion Edit)

 

A子さんの恋人最新刊はA太郎が悪目立ちしていた。わたしはかつてAくんに似た恋人にふられてA太郎みたいな新しい彼氏と付き合いだしたことがあるのでA子さんが二人の間で揺れる姿を他人事でなく見守っている。それまでのほほえましさが二巻末くらいから薄れてきて、三巻で一気にシリアスムードになりましたがこれ何巻まで出るんだろ。どう考えてもおもしろすぎるのですがこの感じだと4,5巻くらいで終わってしまいそうで寂しい。

A子さんの恋人 3巻 (ビームコミックス)

A子さんの恋人 3巻 (ビームコミックス)

 

 ネタばれになりますが三巻最後のA太郎とA子ちゃんのセックスの最中、A太郎の濡れた髪のしずくがA子ちゃんの背中に落ちてきて、A太郎が泣いているのかと勘違いするシーン。ほんの数ページ前でA子ちゃんの髪をA太郎が乾かしていたのに、なぜ自分の髪は乾かさなかったのだろう。そういうところも含めて、A太郎のことは少し苦手。

 

そして先週末、兄の結婚式に出席した。当日のわたしは式前の親族顔合わせの時点で泣くくらい涙腺がゆるふわだった。余興で新郎新婦の友人が踊った「ハッピーサマーウエディング」で曲中のセリフを自分の奥さんに言い換えてマイクパフォーマンスをした兄…世界で一番かっこよかった…。お色直しではビールサーバーを背負い恋ダンスをしながら登場したりと完全に兄のディナーショー状態だったな。二回踊ってましたし。


星野 源 - 恋 【MUSIC VIDEO & 特典DVD予告編】

あと新婦が両親への手紙を披露したあと、兄も自分の両親と新婦へのメッセージを話していて、あんなにうれしそうな両親の顔は初めて見た。兄の優しくてサプライズ好きな性格がよく出ていたと思う。

最後に新郎の父、つまり私の父が来賓に向けて挨拶をする場面があったが、心の病気がある父にとって人前で注目を浴びて話すことは想像を絶するプレッシャーで、三日前くらいから悪夢にうなされ前日も明け方まで眠れなかったそう。そんななか、原稿を用意してきたものの、式の途中に「自分の用意してきた言葉じゃこの結婚式には似合わない」と言って原稿は読まないことに決めていたそう。あいさつで正面に立った時、半分くらい気絶してる父が式の間に感じたことを途切れがちにマイクの前で話しているのを見て、大げさではなく本当に涙が止まらなかった。見ていられないと母が割って入るのではと思ったのですが、母はそんな父を隣でじっと見守っていて、どんなにうまくいっていなくても夫婦という形に意味はあるのだと感じた。わたしにとって父とは、家族とは一体何なんだろうといつも考えていますがその正体もいつかわかるのかなと少しだけ前向きな気持ちになれた日。