知人の男性とカンボジア料理を食べた。メニュー表をみて、カンボジアって何の宗教の国でしたっけ、と聞くと宗教と土地の構造、あーだから魚料理とか発酵食品が意外とあるんだ、みたいな話に自然となる。わたしはココナッツとか魚醤とかレモングラスの匂い、割と好きだ。ほとんどの料理がメニューの写真と全然違う盛り付けで思わず笑ってしまった。政治とアイドルと映画の話ばかりしていた。僕ね、大体の人の考えていることなんとなくわかるんですよと言っていた。それはもしかしたら本当にそうなのかもしれないけれど、こういうこと言う人のまっすぐな驕りや選民意識みたいなものは面白いと思う(あくまでこの距離感だからだけど)わかるのか、わかるのならすごいな本当に。わたしはわかるという言葉に対してものすごくビビってしまいなかなか口に出せないので、こんなに気軽に使えるのはすごい。わたしのことを私以外の人の口で語ってもらいたい。カンボジア料理は総じておいしかった。

久しぶりにちゃんとしたヒールを履いたからかマンションの階段が昇りづらくいらついた。アルコールなんかでは消し去れないレベルの靴擦れの痛み、湯上りのつま先はフローリングで一瞬で冷える。帰宅してからもうひとつやっているブログ、通称人に見せられないブログの記事をまとめて消去した。恥のアーカイブス。ひねくれるのはダサい。というか、ひねくれているということで色々なものから見逃されようとしていたころの自分の文章がきもくてもう見てられん。

 

プライベートと自己主張と体裁のはざま、みたいな地下アイドルのコラムを読んでも、本人の気持ちなんて全然見えない。

 

忘れ物取りに行っていい?と言われて乗った社用車で少し眠っていたらなぜか海沿いに着いていた。風が強くて、寒くて真っ暗でどろどろぎらぎらとした海。車の中で東日本大震災のときの津波の映像を観た。慰めてあげるよ、と言われた。本人は下心よりやさしさの割合のほうが少し多いつもりなのかもしれない。粘ついた笑顔とタバコの匂いとなぜか緩められたネクタイ、また女でいて嫌な思い出が一つ増えたな。わたしが泣いていても怒っていてもめちゃくちゃに傷ついていても、それはわたしとその人のなかだけのことなので、おまえは一生蚊帳の外にいてくれと心の底から思った。結局エキセントリックな女の子がいつも主役に変わるから、「みんな普通が一番だよ」なんてうそをつかないでほしい。毎日痛いほどふつうで、一番でないことを実感している。

 


入江陽 - 気のせい (201912) [Official Video] Yo Irie - Maybe