夜、飲んでいたお店でおそらくなにか盛られた(確証はない)ようで、トイレから戻って10分ほどで異様な気分の悪さと酩酊感におそわれ、ぐらぐらの状態でなんとか帰宅したが、その後何度となく吐いて洗面台でぶっ倒れて気絶していた。倒れた衝撃で頭を打って気絶したのか酒で意識を失ったのかは定かではないが、とりあえずトイレのドアに巨大な穴が開いていたことだけは確かである。声をかけてきて一緒に飲んでいた薬剤師のおじさんがどう考えても怪しいし、あとからおもえば伏線しかない登場人物やんとなって、金払ってるのに安心して酒も飲めねぇのかよとブチ切れていた。そもそも酒癖の良さを自称している以上、初めて行く店、たまたま隣り合った異性、と言う条件で自分が飲酒量を見誤ることなんてほとんどないわけで……。二日酔いの朝胃薬を飲んだけれど、薬の匂いで再び吐いている最中、伊藤詩織さんの事を思い出した。昨夜の自分のような状態でレイプされそうになったとき、とてもじゃないけれど抵抗する能力はない。朦朧としながら、もう一度胃薬を飲んでベッドにもどった。

 

ホクオーのピーナッツパンがおいしくてしばらくそればかり食べていたけれど、カロリー見て買うのを控えるようになった。加齢とともに太りやすくてなっているけれど、一人暮らししていると体重を変動させやすいので太らずに済んでいる。高校生の頃強迫観念で激やせしてBMI14だった頃は生理が一年こなかったし、その名残でいまも内臓ぼろぼろだけど、その後良い友達や恋人にめぐまれていたせいでおいしいものを食べたり少し堕落の仕方を学んだのでゆるやかに心身ともに健康的になった。いまは太ってないけどガリガリでもないという体で、割と気に入っている。

 

わたしは引きずり回しやすい人間だし、引きずり回した方をあまり責めないけれど、引きずり回されたら当然傷を負うしその傷は思っているよりも深くて乾かないのだ。

 


平賀さち枝/春が来そうでさびしいだけ